喘息(ぜんそく)
喘息ってどんな病気?
空気の通り道である気管支が狭くなるために呼吸が苦しくなることを繰り返す病気です。細くなった気管支を空気が通過するときに「ヒュー」とか「ゼー」という音が鳴るのが特徴です(笛を鳴らすのと同様の原理です)。
喘息の人の気道は、症状のない時でも常に炎症を起こしており(気道の慢性炎症といいます)、様々な刺激に対して敏感(気道過敏性が高いといいます)です。
喘息の約80~90%は6歳までに発症するといわれており、年長児や成人とは異なる解剖学的・生理学的特徴があるため、5歳以下の喘息を特に『乳幼児喘息』と呼んでいます。
喘息発作の引き金となるもの
- ホコリやダニ、花粉などを吸い込むこと
- タバコ、お線香、花火やバーベキューの煙を吸い込むこと
- 冷たい空気を吸い込むこと
- 気温や湿度、気圧の変化(特に梅雨時、台風などの低気圧)
- 激しい運動
- 風邪などのウィルス感染症(特に小さいお子さま)
注)近年、喘息発作ではなく喘息の急性増悪という用語が使われるようになっていますが、ここではイメージしやすいよう「発作」という用語で統一しています。
喘息の症状
- 呼吸が苦しい、息苦しさを感じる
- 動悸や息切れ、胸の圧迫感
- 息を吐くときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音がする(これを『呼気性喘鳴』といいます。症状が強くなると息を吸うときにも喘鳴が聞こえることがあります)
- 夜間・明け方、運動時に咳が増える
- 発作が繰り返し起こり、日常生活に影響が出る
- 息苦しさや喘鳴が無く、咳だけが目立つ『咳喘息』という状態もあります
乳幼児喘息の特徴
乳幼児は年長児に比べて気道が細いことに加え、痰などの分泌物が多く、風邪をひいたときにゼーゼーしやすいです。特にRSウィルス等による急性細気管支炎の症状は喘息とよく似ています。その他、気管支炎や肺炎でもゼーゼーが聞えることがあります。ですから、一度ゼーゼーしただけでは『喘息』と診断することはありません。
明らかな『呼気性喘鳴』を3回以上繰り返し、喘息の治療薬により症状が改善する場合に『乳幼児喘息』と診断できます。
乳幼児喘息に対しては、気道の炎症を抑える治療を早期に開始し、一定期間継続します。発作による気道のダメージを極力少なくすることにより、将来的に発作を起こさなくなる(寛解といいます)ことが目標です。寛解率は30~40%といわれています。
診断と治療
診察時に呼気性喘鳴を確認します。症状が比較的軽い場合、夜間や明け方はゼーゼーしていたけれど、医療機関を受診するような時間帯には改善していることがあります。咳込みが気になるときは、お子さまの口元に耳を近づけ、お子さまが息を吐くときに「ヒュー」「ゼー」という音がしていないかどうか確認しましょう。
喘息の治療には平常時の治療と発作時の追加治療があります。体調が良いときも、気道の炎症を抑えて安定化させる薬(長期管理薬)をきちんと使用します。長期管理薬には内服薬と吸入薬があります。
発作時には気管支を広げる薬(気管支拡張薬)を追加します。追加治療薬にも内服薬と吸入薬があります。
継続的に関わらせていただく中で、発作の頻度や程度(重症度)を考慮した適切な治療薬を選択していきます。成長とともに薬の量を調節したり、吸入の方法を変更したり、保護者さまと相談しながら対応していきます。
家庭での管理のポイント
高温多湿なうえ、住居の高気密高断熱化が進んだ現代の日本においては、喘息発作の原因として最も注意しなければならないのは家の中のホコリ・ハウスダスト(主成分はダニ)です。ですから、ホコリ・ハウスダストを少なくすることは喘息治療の中で大切なことのひとつです。カビに対して反応するお子さまもいますので、定期的に換気と掃除を行い、家の中のカビも少なくしましょう。
お部屋の環境を整える
- ダニは高温多湿を好むので、室内の温度湿度が上がり過ぎないように定期的に換気をしましょう。梅雨時や夏場はエアコンの除湿機能を活用することもできます。
- 布製品はダニの温床となります。カーペットは使わず、フローリングが理想的です。クッションやぬいぐるみなどはできるだけ減らします。
- 洗えるものはこまめに洗濯をし、洗えないものは天日干しをします。乾燥機にかけることも有効です。
こまめな掃除
- 食べ物のカス、髪の毛、フケなどはダニの餌になります。毎日掃除機をかけることでダニそのものを減らすだけでなく、ダニの繁殖を抑えることができます。
- 夜間就寝中はハウスダストが床に沈下しています。まず床のモップがけを行い、その後に掃除機を使用することで、空気中に舞い上がるハウスダストを少なくすることができます。掃除中は窓を開けて換気をしましょう。ただし、窓を開けるのはモップがけの後です。
- エアコンのフィルター掃除も定期的に行い、カビやホコリを取り除きましょう。
寝具のケア
- ダニの死骸や糞は水で洗い流せます。布団カバーやシーツは週に1回程度洗濯します。丸洗いできる布団もあります。
- ダニを通過させないカバー類も市販されていますので、検討してもよいでしょう。
- 布団を干した後は、掃除機をゆっくりかけます(布団叩きなどで布団を叩くことは、ダニの死骸や糞をより細かくし、布団の奥に押し込んでしまいますので、絶対にやめましょう)。
- 天日干しの代わりに布団乾燥機で熱処理することも有効です。
さいごに
小児の喘息の半数近くは成人期までに軽快すると報告されています。しかし、ごく稀ではありますが、重症化して死に至るケースもあります。長引く咳が気になる時には、ただの風邪ではなく喘息の可能性もあるため、小児科の受診をおすすめします。









