思春期ニキビ
ニキビってどんな病気?

美肌の天敵「ニキビ」は、「⽑⽳のつまり」から始まる、⽑⽳にできる病気です。
特にこどもから⼤⼈への移⾏期である思春期(おおよそ8歳〜17歳)は、ホルモンバランスが変化することでニキビが発⽣しやすくなる傾向があります。
ニキビの原因
- 思春期ニキビの主な原因は、思春期特有のホルモンバランスの変化です。特に男性ホルモンの⼀種であるアンドロゲンが増加すると、⽪脂の分泌が盛んになります。過剰な⽪脂は⽑⽳を詰まらせ、アクネ菌(ニキビの原因菌)の増殖を促し、⽑⽳とその周囲に炎症を引き起こします。
- 角質のターンオーバー(肌の細胞が⼀定の周期で⽣まれ変わる仕組み、または新陳代謝のこと)の乱れは、⽑⽳の詰まりを悪化させます。
- 遺伝的要素も影響します。
- 不規則な⽣活、睡眠不⾜、ストレス、偏った⾷⽣活などは、ニキビの悪化要因となります。
- ⼥性の場合、⽉経周期なども影響します。
- 肌が乾燥すると、⽪膚保護のために⽪脂分泌が増加し、ニキビができやすくなります。
思春期ニキビと⼤⼈ニキビの違い
思春期ニキビ(若年性ニキビ)は⽪脂腺の多い額や⿐(いわゆるTゾーン)、頬に多く発⽣します。ぷよぷよとやわらかく、膿が出やすいことが特徴です。
20代前半以降にできる⼤⼈のニキビは、額や⼝まわり、顎や⾸、背中などにもでき、硬くて芯があり、炎症も強い傾向があります。思春期ニキビと⽐べると、ライフスタイルとそれらに関わるホルモンバランスの乱れがより⼤きく影響しているようです。加齢により角質が硬くなることや、間違ったスキンケアや不⼗分な洗顔によるメイクの落とし残しなども、⽑⽳の詰まりを悪化させます。
⼤⼈ニキビと⽐較し、思春期ニキビは柔らかくつぶれやすいうえ、ニキビ跡が残ってしまう恐れがあります。⾃分でつぶさないことはもちろん、適切なスキンケアと治療が必要です。
ニキビの種類と⾃然経過
ニキビは、⼀⾒正常に⾒えますが触るとザラザラしている非炎症性ニキビ(① ② ③)から、⾚く腫れたり痛みを伴ったりする炎症性ニキビ(④ ⑤ ⑥ ⑦)へと進展していきます。
- ① マイクロコメド:⽑⽳に⽪脂がたまり始めた状態。
- ② ⽩ニキビ(閉鎖コメド): ⽪脂が⽑⽳の中に詰まって⽪膚表⾯が盛り上がります。
- ③ ⿊ニキビ(開放コメド): ⽩ニキビにたまった⽪脂が⽑⽳の開⼝部で空気に触れて酸化し、⿊く変⾊してきます。
非炎症性ニキビ(コメド): ⽑⽳が詰まった状態を指します。
- ④ ⾚ニキビ(丘疹): 炎症が起こると⾚く腫れ上がります。
- ⑤ 化膿したニキビ(膿疱): 周りの組織にまで炎症が広がり、膿が溜まります。⻩⾊く⾒えることが多いです(⻩ニキビ)。
- ⑥ 結節: ⽪膚の深い部分まで炎症が及んだ、硬く⼤きなしこり。痛みを伴うことが多いです。
- ⑦ 嚢腫(嚢胞): ⽪膚の深い部分に膿が溜まった、⼤きな袋状の病変。痛みを伴います。
炎症性ニキビ:⽑⽳の中で⽪脂をエサにアクネ菌が増殖し、炎症を起こした状態。
思春期ニキビの治療とケア
思春期ニキビの治療では、①⽑⽳の詰まりを取り除く、②炎症を取り除くことが⼤切です。
放置してニキビの炎症を繰り返し起こした場合、炎症がおさまった頃には凹凸のあるニキビ痕になってしまうことがあります。ニキビ痕の治療は⾃費診療となる場合が多いため、思春期ニキビかなと感じたら、我慢したり放置したりせず丁寧に治療を⾏うようにしましょう。
ニキビを改善し、健やかな肌・美肌を目指すために、まずは日頃のスキンケアから始めましょう。
- 洗顔のコツ
ゴシゴシこすると肌が傷ついてしまいます。しっかり泡立てた洗顔料で優しく洗いましょう。肌表⾯と手のひらが直接こすれないように、洗顔料の泡を顔と手のひらの間で転がすようなイメージです。
また、洗顔の際はお湯の温度にも気を配りましょう。普段シャワーをする温度では熱すぎる可能性があるため、ぬるま湯で優しく洗いましょう。シャワーを直接顔に当てることも、刺激が強いため控えましょう。
- 整髪料の洗い残しに注意
整髪料を使用する場合、顔にかかると⽑⽳詰まりの原因になります。前髪がかかる額や顔回りなどは、整髪料の洗い残しによりニキビが発⽣しやすくなります。髪の⽣え際まで⼤きめに洗うようにしましょう。
- 必ず保湿を⾏う
洗顔後は必ず保湿を⾏い、肌の乾燥を防ぎます。特に秋〜春にかけては空気が乾燥します。夏は発汗により肌が潤っているように感じるかもしれませんが、エアコンや扇風機の風による肌の乾燥は侮れません。保湿を怠ると、肌を守るために余分な⽪脂が分泌される場合がありますので、ニキビが気になる方は油分が少ない乳液やクリームを選んで使用しましょう。
- 紫外線対策
紫外線はお肌にダメージを与え、⽪膚トラブルを引き起こしやすくなります。日焼け止めを塗る、帽子をかぶる、日傘を利用するなどで対策しましょう。
- ⾷事や睡眠も⼤切
油分や糖分の多い⾷事は⽪脂の分泌を促進します。脂っこいものや甘いものを控え、ビタミンCを多く含む果物やビタミンB群を多く含む緑⻩⾊野菜を摂るように心がけましょう。また、ホルモンバランスを整え、お肌の正常なターンオーバーを促すために睡眠は重要です。夜更かしは避けるようにしましょう。
- 思春期ニキビの治療
「抗菌作用」と「角層剥離作用」を併せ持つ過酸化ベンゾイルの外用療法が中心です。最低3か⽉、できればそれ以上継続することにより、今できているニキビを治療し、新しいニキビができにくい健康な肌に導きます。外用抗菌薬を短期間併用したり、炎症を抑える外用薬を用いることもあります。症状によって薬剤の使い分けが必要ですので、思春期ニキビや肌トラブルでお悩みの方は⼀度ご相談ください。(重症の場合には、近隣の⽪膚科をご紹介しています。)
まとめ:思春期ニキビの改善・予防策
- ① 正しい洗顔:朝晩優しく洗顔して⽑⽳の汚れを落とします。
- ② 保湿ケア:季節を問わず、洗顔後は乳液・クリームなどで肌の乾燥を防ぎます。
- ③ バランスの良い⾷事:脂肪分や糖分を控え、ビタミンやミネラルを豊富に含む⾷事を心がけます。
- ④ 規則正しい⽣活:⼗分な睡眠時間を確保し、ストレスを溜めないようにします。
- ⑤ 紫外線対策:日焼け止めを塗る、帽子をかぶる、日傘を利用するなどの紫外線対策を⾏います。
- ⑥ 触らない:ニキビを触ったり、つぶしたりしない!ニキビ痕が残る可能性があります!
思春期ニキビはホルモンバランス、⽣活習慣、遺伝的要素など複数の要因が複雑に絡み合って発⽣します。
適切なスキンケアと⽣活習慣の改善を⾏っていてもホルモンバランスの影響でどうしても思春期ニキビができてしまう場合もありますので、⾃宅で我慢せず医師による治療を受けるようにしましょう。当院では、思春期ニキビや肌トラブルについても幅広く診療していますので、炎症や⾚みなど気になる症状があれば気軽にご相談ください。